新聞でご紹介いただきました
今年は利尻礼文サロベツ国立公園が50周年を迎えたということで、北海道新聞さんの国立公園特集記事(道北版)の中でご紹介いただきました。各地域の人物紹介のような感じで、記者さんとの対話風でこれまでの経緯などをご紹介いただいた内容です。
私がまだ大学生でサロベツに来たばかりの頃は豊富町の人口は5千人以上。国立公園30周年の記念写真展などをやっていたことが思い出されます。ただ、その当時の認識としては、サロベツが日本有数の湿原だということは、地域内でも観光客にもあまり一般的でなかったと思います。あれから20年が経ち、微力ながらサロベツ湿原や魅力や価値を少しは伝えて来られたのかなと思います(もちろん、まだまだ不十分ですが…)。
今、50周年の節目で思うことは、国立公園指定当時にご尽力された方々、つまり国立公園指定前のサロベツの自然をご存知の方々がここ数年で次々と天国に旅立たれたという事実です。当たり前のことですが、そのようなレジェンドの方々がいらっしゃったからこそ、今のサロベツの自然が残されてきたということを忘れてはいけないですし、その方々の想いを引き継いでいく責任を感じています。
現在は人口約3千5百人の豊富町。今後の人口予測では2030年には3千人を割る見込みです。さらに30~40年後には1千人も下回ると推計されています。このペースがもっと早まるのか、緩やかにできるかはこの先の豊富町次第ということになります。国立公園が100周年を迎える50年後には地域は一体どうなっているのでしょうか?町の人口は500人もいるのでしょうか?このままでは地域社会を維持できないほど人が減って行くのは明らかな状況です。私はもうこの世にいないかもしれませんが、その頃には豊富町も無くなっているかもしれないです…。
今の私は個人の自然ガイドです。やれることは限られます。その中で自分に何ができるかと言えば、やはりこの地の自然を愛して下さる方、好きな方を増やしていくことが一つだと思います。そして、サロベツのことを大切に想っていただける多くのファンの方々のお力をお借りしながら、地域の人々も自然も元気になるような活動、仕組みを関係者の方々と一緒に作れればと思います。また同時に、次の世代を育てていくことも大切にしたいと思っています。何をどこまでやれるか分かりませんが、少しずつ種を蒔き、育てていくことをこれからも地道に取り組んでいきたいと思います。